保険に入る人は情弱、加入するなら掛け捨てで十分!
という意見は本当なのか?
今まで私自身もファイナンシャルプランナーの方の意見を参考に保険に加入していたのですが、実際に自分でも検証して保険の見直しを考える事にしました。
調べてみると、どうやら私の加入していた商品は、残念な商品だったようです?!
この記事が、医療保険に加入している方、これから加入しようとしている方の参考になれば思います。

そもそも医療費っていくらかかるの?

ガンの治療費概算
比較的高額になるガンの治療費を取り上げています。
種類 | 全体平均(1入院費用) |
胃がん | 964,565円 |
直腸がん | 933,053円 |
結腸がん | 778,824円 |
乳房がん | 771,773円 |
*実際は重症度により費用変わるのであくまでも参考値です。
参照 日本病院協会「医療費(重症度別)【第4四半期】」
ガンは約100万円の治療費がかかっているが、公的医療保険保険適用(3割負担)で30万円が自己負担
高額療養費制度でさらに減額
医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度引用:厚生労働省高額療養費制度を利用される皆さまへ
計算式(70歳未満の方)
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数回該当※1 |
---|---|---|
①区分ア(標準報酬月額83万円以上の方) | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
②区分イ(標準報酬月額53万~79万円の方) | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
③区分ウ(標準報酬月額28万~50万円の方) | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
④区分エ(標準報酬月額26万円以下の方) | 57,600円 | 44,400円 |
⑤区分オ(低所得者) | 35,400円 | 24,600円 |
仮に月収50万円未満の方が月に100万円(保険適用前)かかった場合
80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
・国民健康保険の加入者が、1人1か月、同じ医療機関にかかり、以下の自己負担限度額を超えた場合、その超えた額が支給されます。
・1件の自己負担額が、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月に同一世帯で 21,000円以上超えるものが2件以上生じたときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます。つまり世帯合算ができます。
同一人が同一月に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれ21,000円以上になった場合も同様です(70~74歳の方がいる世帯では算定方法が異なります)
参照:高額療養費の自己負担限度額シミュレーション
高額療養費制度を使用すればガンになっても一月8万~9万円程度で治療できる
ガンの平均入院期間
(単位:日) | 15~34歳 | 35~64歳 | 65歳以上 | 75歳以上 |
新生物<腫瘍> | 10.2 | 12.0 | 18.2 | 21.5 |
悪性新生物<腫瘍> | 15.9 | 13.0 | 18.6 | 21.8 |
ガンの入院期間はだいたい10~20間日程度で退院となり、年々減少傾向にある
先進医療でかかる費用
先進医療は全額自己負担となり、高額療養費制度を受ける事が出来ません。
先進医療に係る費用
技術名 | 平均費用 |
高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 | 302,859円 |
陽子線治療 | 2,714,943円 |
重粒子線治療 | 3,123,756円 |
抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 | 37,455円 |
MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法 | 107,640円 |
先進医療でかかる費用は多くて300万円程度
先進医療はガンになったら必ず受けるものではないが、低い確率でも費用として掛かる可能性ががある。
入院にかかるその他の費用
入院した場合、治療費とは別に、食事、ベッド、雑費などがあります。
差額ベット代
令和元年7月1日現在 | 1日あたり平均徴収額(推計) |
1人室 | 8,018円 |
2人室 | 3,044円 |
3人室 | 2,812円 |
4人室 | 2,562円 |
合計病床数 | 6,354円 |
食費
一般所得 | 食費460円/食 |
雑費
日用品や、家族のお見舞いの交通費等を考えてざっくり1日1500円程度と想定
仮に2週間入院した場合にかかるその他の費用
差額ベット代6,354円×14日間=88,956円
食費460円×3食×14日間=19,320円
雑費1500円×14日間=21,000円
入院2週間=その他費用約13万円
医療費の概算が分かるサイト
JA共済が提供している「未来のねだん」というサイトに病気になった場合にかかる費用が分かりやすくまとめられていたので、紹介しておきます。
参照:JA共済が提供している「未来のねだん」
肺がん | 約374万円(入院治療:男性・入院日数32日間 +重粒子線治療の場合) |
---|---|
胃がん | 約86万円(入院治療:男性・入院日数20日間 +がんワクチン療法の場合) |
大腸がん | 約85万円(入院治療:女性・入院日数19日間 +がんワクチン療法の場合) |
乳がん | 約72万円(入院治療:女性・入院日数11日間 +がんワクチン療法の場合) |
子宮がん | 約350万円(入院治療:女性・入院日数18日間 +重粒子線治療の場合) |
白血病 | 約134万円(入院治療:男性・入院日数75日間の場合) |
狭心症 | 約28万円(入院治療:男性・入院日数12日間の場合) |
心筋梗塞 | 約33万円(入院治療:男性・入院日数15日間の場合) |
脳卒中 | 約50万円(入院治療:男性・入院日数26日間の場合) |
高血圧症 | 約39万円(入院治療:男性・入院日数19日間の場合) |
糖尿病 | 約39万円(入院治療:女性・入院日数19日間の場合) |
胃潰瘍 | 約34万円(入院治療:男性・入院日数16日間の場合) |
*高額療養費制度、3割保険適用後の自己負担額概算です。
ズバリ 万が一の病気に備える費用
医療費(自己負担)30万+先進医療費300万+雑費13万円=
万が一の病気に備える費用=合計343万円
このうち300万円の先進医療は受ける可能性は低いが、ゼロではない。
実質50万も有れば、大概の病気には対応できる。
現在入っている医療保険

以前私がファイナンシャルプランナーの方に相談して加入した医療保険が下記になります。
東京海上日動あんしん生命
メディカルKit R
特長
・払い込んだ保険料の使わなかった分をリターン
・一生涯の医療保障を加入時のお手ごろな保険料でリザーブ
契約時年齢 | 37歳 |
---|---|
保険料 | 3,700 円 |
保険期間 | 終身 |
払込期間 | 終身払込 |
入院給付金日額(60日型) | 5,000円 |
手術給付金(入院中) | 50,000円(入院中以外)25,000円 |
放射線治療給付金 | 50,000円 |
還付支払年齢 | 60歳 |
還付予定金額 | 1,021,200円 |
先進医療特約 | 先進医療給付金額 所定の先進医療にかかわる技術料 | <保険料> 114 円 |
3大疾病入院支払日数無制限特約 | 3大疾病入院支払日数無制限 | <保険料> 240 円 |
※この特約部分は掛け捨て、還付されません
加入している補償内容は最低限度のシンプルなものだと思います。
私は若いうちから医療保険を払うのはもったいないと思っていたのですが、年をとってから医療保険を支払い始めると高くなってしまうと思い「今のうちから入って老後にも備えれるようにしたいとい」う思いを相談してたところ、この商品をすすめられました。
この時、合わせて「所得税と住民税の所得控除の枠も使い切った方がいい」と言われ。
確かにその通りだなと、納得した覚えがあります。
保険の所得控除
所得控除限度額
計算方法(新制度2012年1月1日以降に締結した保険契約など)
所得税の生命保険料控除額
「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」それぞれに適用され、あわせて12万円が限度となります。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 ~ 40,000円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 10,000円 |
40,000円超 ~ 80,000円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 20,000円 |
80,000円超 | 一律 40,000円 |
個人住民税の生命保険料控除額
「一般生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」それぞれに適用され、あわせて7万円が限度となります。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,000円超 ~ 32,000円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 6,000円 |
32,000円超 ~ 56,000円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 14,000円 |
56,000円超 | 一律 28,000円 |
ここで私の場合毎月4,054円×12カ月=48,648円が生命保険料控除の対象になると思っていたのですが、よくよく見てみると、このメディカルKit Rという商品は、全額が控除の対象ではなく、保険料の一部が控除対象で、全額ではありませんでした。
よく見ると明細書に保険料控除対象額が記載されていました。

所得税10%、住民税10%とした場合
所得税の生命保険料控除額
48,648円 × 1/4 + 20,000円=32,162円×10%=3,216円控除
個人住民税の生命保険料控除額
48,648円×1/4 + 14,000円=26,162円×10%=2,616円控除
合計5,832円=支払い合計23年間で134,136円
所得税の生命保険料控除額
19,500円×10%=1,950円控除
個人住民税の生命保険料控除額
19,500 円×1/2 + 6,000円=15750円×10%=1,575円控除
合計3,525円=支払い合計23年間で81,075円
生命保険料控除=81,075円
クレジットカード払いのポイント
保険料をクレジットカード払いにするとカード会社のポイントが付きます。
私はオリコカードで支払い、1%ついているのでこの費用は還元されていると計算した場合。
23年間で支払う保険料1,118,904円×1%=11,189円
これは微々たるものですね・・。
結局23年間で支払う保険料合計(60歳迄)
23年間で支払う保険料合計
・4054円×12カ月×23年間=1,118,904円
・生命保険料控除額=81,075円
・クレジットカードポイント分=11,189円
1,118,904円ー81,075円ー11,189円=1026,640円(60歳迄に支払う総額)
60歳に還付される金額=1,021,200円
還付される額1,021,200円ー総支払額1,026,640円=ー5440円
60歳迄保険にい入って合計で5千円程度なら全然問題ないようにも思いますが・・
では、ここからこの保険のデメリット部分を解説していきます。
メディカルKit R のデメリット
デメリットその1
保険料の支払いがあった場合、積み立て金から相殺される
例え)60歳までに手術を伴う入院2週間が3度あった場合
保険金=36万円
(内訳)手術1回50,000円、入院14日間=5,000円(1日)×14日間=70,000円 合計12万円
12万円×3回=36万円の保険適用
健康還付給付金額1,021,200円ー保険金360,000円=661,200円
これはデメリットではなく、そもそもそういう商品なのですが、結局のところ医療費を積み立てて、自分で支払っているのと同じ事になってます。
デメリットその2
途中解約の場合解約払戻金がかなり低い
こちら私の場合の解約払戻金です

保険を解約したい場合、約3分の1~半額程度しか戻って来ません。
加入者が死亡した場合もこの解約払い戻し金が適用されるため、60歳までに止めるか、死亡した場合、確実に損することになります。
デメリットその3
老後の保険料が高くなる可能性がある
この保険の特徴に一つに「一生涯の医療保障を加入時のお手ごろな保険料でリザーブ」とあるのですが、実際60歳以降の保険料を他社と比較してみたところ。

現在の保険費用4,054円と比べても、60歳時点でも掛け捨てですがほぼ同条件で安く入れる保険は有り「加入時のお手ごろな保険料でリザーブ」というのは、当てにならない。
先進医療特約は保険期間10年で、10年後に更新すると支払額が上がる可能性があり、より高くなる可能性がある。
デメリットまとめ
保険料は自分で積み立てたお金なのに、途中で解約すると積立金が3分の1程度になり、60歳以降の支払額もそこまで安くない。
メディカルKit R のメリットは?
メリットその1
積立額以上の保険が適用された場合
例え) 60歳までに手術を伴う入院2週間が10回あった場合
保険金=120万円
(内訳)手術1回50,000円、入院14日間=5,000円(1日)×14日間=70,000円 合計12万円
12万円×10回=120万円の保険適用
健康還付給付金額1,021,200円ー保険金1,200,000円=ー178,800円
60歳までに10回2週間以上の入院と手術をすれば、支払額以上の保険金をもらえる可能性がありますが、ここまで行ったらもう死んますよね。
先進医療特約や特定疾病保険料払込免除特則などのオプションがあれば、先進医療で多額の保険金が支払われたり、ガンなどの診断で保険金が免除になると、トータルでプラスになる可能性は有る
メリットその2
途中解約しなければ積立金が戻ってくる
仮に掛け捨て保険(1500円)を37歳~60歳(23年間)加入していた場合
1500円/月×12カ月×23年間=掛け捨て支払い保険額 414,000円
60歳を区切りとして考えると健康還付給付金の有るメディカルKit Rにメリットがあります。
では60歳以降90歳になるまで保険を掛けていた場合で計算してみます。
仮に1500円掛け捨てで53年間加入していた場合
1500円/月×12カ月×53年間=954,000円
仮にメディカルKit Rを60歳以降90歳迄加入していた場合
4054円/月×12カ月×30年間=1459,440円
衝撃の事実!!
若い頃から掛け捨てで払い続けている方が、90歳迄払った場合トータルで50万円も支払額が低い
しかも、先進医療特約等のオプションが10年更新で上がっていく事を考えるとさらに支払い額が増えるのと、60歳までに保険料の支払いがあれば、その分引かれるので、余計に差が広がります。
ガーッデム!全然メリットないやないかい!
でも、90歳迄生きる可能性あるかな?
という声も聞こえてきそうですが、日本人の平均寿命は年々増加傾向にあり、90歳は普通に生きている可能性があります。

引用:内閣府平均寿命の推移
さてどうしよう?
今からできる事①
メディカルKit Rを解約、新たに掛け捨て保険に加入する
現在までに4年間+2か月保険をかけてきた
4,054円×50カ月=202,700円
解約払戻金30%とした場合=約60,000円
約14万円の損切り
仮に掛け捨て医療保険「アクサダイレクトの終身医療」1,730円/月を新たに90歳迄かけた場合
1,730円/月×49年間=1,017,240円(掛け捨て保険料)
メディカルKit Rをこのまま90歳迄かけ続けるよりも約30万円少なくなる
問題点
・今までかけてきた保険金約14万円マイナス
今からできる事②
メディカルKit Rを解約しないで、このまま積み立て。60歳以降保険に加入しない。
この場合は還付金でこれまでの費用はほぼ相殺。それ以降は公的保険と貯金で対応。
1度の入院や、治療の自己負担が30万~50万円程度と考えた場合、健康還付金が100万近くあるので、それで対応する。
問題点
・先進医療等の自己負担が高額な病気になった場合は、100万円では足りない可能性がある。
今からできる事③
メディカルKit Rを解約しない。かつ掛け捨ての医療保険に加入する
メディカルKit Rの支払い4,054円は積み立て貯金と割り切り、60歳迄かけ続ける。
仮に掛け捨て医療保険「アクサダイレクトの終身医療」41歳から1,730円/月を新たに90歳迄かけた場合
1,730円/月×49年間=1,017,240円(掛け捨て保険料)
問題点
・毎月の支払額が増える 4054円+1,730円=5,784円(月の支払い)
・60歳までに死亡、支払い出来ない事態になった場合、返金額が少ない
今からできる事④
メディカルKit Rを解約しない。60歳以降新たに保険をかける
メディカルKit Rの支払い4,054円は積み立て貯金と割り切り、60歳迄かけ続ける。
仮に掛け捨て医療保険「アクサダイレクトの終身医療」60歳から3,610円/月(概算)を新たに90歳迄かけた場合
3,610円/月×30年間=1,299,600円(掛け捨て保険料)
問題点
・60歳からの保険料は現時点概算の為、上がっている可能性がある
・60歳までに死亡、支払い出来ない事態になった場合、返金額が少ない
今からできる事⑤
メディカルKit Rを解約。60歳以降も保険に入らない
メディカルKit R解約は約14万円の損切り
以降は公的保険と貯金で対応。
毎月かかっていた保険分を資産運用する事で、自力で増やす。
毎月4000円を60歳迄19年間年利3%で運用出来た場合
元本91.2万円→122.7万円=31.5万円のプラス(マイナス14万円分は解消できる)

問題点
・今までかけてきた保険金マイナス14万円
・資産運用がうまくいけばマイナス分は補填できるが、運用リスクはある。
・高額の医療費が発生した場合に対応できない
まとめ 貯金は貯金、保険は保険

医療保険に入るなら、掛け捨てで毎月の費用を抑えて支払い続ける事が、結果的に合計の支出は少なくなるというのは、確かなようです。
それでも100万円近くの費用はかかってしまうので、長い人生でそこまでの医療費がかかるかどうか?が医療保険に入るポイントなんだと思います。
100万円以上の医療費がかかると思うなら、医療保険に入る
100万円もかからないと思うなら、医療保険には入らず、貯蓄で対応する
そもそも私の入っていたメディカルKit Rという貯蓄型の商品は、貯金にしても、保険にしてもどっちつかずの非常に残念な商品でした。
いっそ解約して、スッキリするか、引き続き支払い続けて、60歳以降に改めて保険に入りなおすか?
まだ結論出していないのですが、皆さんも保険加入の際には十分、その保険の性質を理解して契約してください。
最後に
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